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PDF運用におけるオーバープリントについて

【第3版】

以下に述べるPDFのオーバープリントの仕様は、本来は、PDF全般を対象として書きました。ですが、いわゆる「RIP済みPDF」といった類いと混同された場合、誤解を招く恐れがありますため、便宜上、PDF/Xの仕様としてお読みください。

オーバープリントの仕様を知る

 PDF運用のメリットは、やはりPDFそのものが印刷データと出力見本を兼ねることです。
 PDFはAcrobatという閲覧アプリケーションで、見た目で分かる問題を確認した上で入稿・分版出力することができます。見た目で分からない問題について、ほとんどは、あらかじめPDF中に含まれないようにする、またはPDF上で修正・破棄するなどの方法もとれます。
 ただし、PDFをDTP用途に用いる場合、あらかじめオーバープリントという、オブジェクト単位にもつ属性を正しく設定・確認しておかなければなりません。正しくPDFを分版出力するとき、PDF内に含まれたオーバープリントを忠実に再現する必要があるためです。

 PostScriptでは、オーバープリント属性は「デバイス依存要素」としか定義されていませんでした。デバイス依存要素は、出力環境や手順によって振る舞いが異なるという意味です。つまり、ルールが曖昧でした。PDFも規格上は、オーバープリント属性の振る舞いは曖昧です。しかし、Acrobatというデバイスが、オーバープリント結果を表示でき、また実際、同様に分版出力できることが確認されています。
 このため、必然的にAcrobatのオーバープリントプレビュー表示の仕様が、PDF運用におけるオーバープリント仕様として認められてきています。
 仕様が決まっているからには、仕様に準じた正しいオーバープリントの使い方を知っておくことで、未然にトラブルを防ぐことができます。

 要するに、Acrobatのオーバープリントプレビュー表示で見た通りに分版出力できるのだから、Acrobatでよく確認しましょうという言い方もできますので、あまり難しく考えなくても問題ありません。
 ただ、PDF運用時のオーバープリントは、従来のPostScript運用と一対一で繋がるものではありませんので、PostScript経験者は振る舞いの違いに戸惑うかもしれません。そのため以下にはPostScriptのオーバープリントの基本から説明しています。
 さらっと頭の片隅に置いててもらえれば、いつか役に立つこともあるかもしれないと期待します。

分版出力とオーバープリントの基本

 PostScriptデータを分版出力するためには、分版するためのフィルタにかけます。
 分版に対応したPostScriptコードは分版フィルタを通すことで、指定したC、M、Y、K及び特色版(スポットカラー)の各チャンネル要素のみを抽出することができます。
 分版時には、各オブジェクトが持つオーバープリントという属性が、描画するか、しないかを決定します。

  • オーバープリント属性を持っていないオブジェクトは、分版指定されたチャンネルのカラー値が0%の場合、0%として描画されます。いわゆる白として描画されます。
  • オーバープリント属性を持ったオブジェクトは、分版指定されたチャンネルのカラー値が0%の場合、そのチャンネルには描画されません。

 例えば、オーバープリント属性をもっているCMYK=0%のオブジェクトは(基本的に)全く描画されないことになります。どの版にも出力されません。オブジェクト自体無いのと一緒の結果になります。

 何のためにオーバープリントという属性が必要なのか。それは主に特色版に描画されるオブジェクトを他のチャンネル(例えばC,M,Y,K)と刷り重ねるためです
 特色オブジェクトが、オーバープリント属性無しのとき、下地を白にします。背面にある他のチャンネル(C,M,Y,K版等)を0%で描画しますので、他のインクと重なりません。
 オーバープリント属性ありのときは、他のチャンネルに影響を及ぼしません。つまり特色版と他のチャンネルを刷り重ねることができます。

 CMYKオブジェクト同士を重ねるためにオーバープリント属性を使用するメリットはほとんどありません。唯一「スミのせ」という簡易トラッピング処理(多少ずれても目立たなくする)に使われることはよくあります。
 C0+M0+Y0+K100%のオブジェクトがオーバープリント属性を持っているとき、このオブジェクトはC,M,Y版には描画されず、K版のみに描画されます。
 背面にカラー成分C,M,Y(いずれかまたは複数の掛け合わせに)よるオブジェクトが存在していた場合に、前面のC0+M0+Y0+K100%オブジェクトは背面のC,M,Yチャンネルを変化させないという効果があります。
 K100%の小さい文字(12pt以下)や細い線オブジェクトの背面に色を残しておくことで、印刷時に発生する微細なずれによりC,M,Y版との間に隙間が発生ししても全く目立たなくできる効果があります。
 多くの印刷現場では、K100%オブジェクトを全てスミのせにするルールを採用しているようです。
 ですが、スミのせによる弊害もあります。全て見出し文字やイラストや帯など、面積の大きいK100%オブジェクトがスミのせのとき、背面のC,M,Y版と重なった部分だけがより濃い黒に見えてしまいますので、本来は、K100=オーバープリントではなく、使い分ける必要があります。

 オーバープリント属性を使用した場合、先の例に挙げた「スミのせ」のように色が混ざって見えることがあります。ですが、必ずしも「加わる」とは限りません。
 例えば、C100,M0,Y0,K0%のオブジェクトの前面に、C0,M0,Y100,K0%のオブジェクトをオーバープリント指定した場合、結果は C100%とY100%が重なって緑色になります。この場合色が混ざって見えます。
 しかし、C100,M100,Y100,K0%オブジェクトの前面に、C1,M0,Y0,K0%のオーバープリントオブジェクトを乗せた場合、前面オブジェクトが重なった箇所は1%のC版のみが描画されるので目に見える結果は赤色になります。
 このように思わぬ結果になることがありますので、色を混ぜる目的で、CMYKカラーオブジェクトにオーバープリント属性を指定することは、極力避けるべきです。

Adobe純正RIPのIn-RIPセパレーションの仕様

 分版するためのフィルタにより分版できるPostScriptコードは、分版フィルタに対応したPostScriptコードに限定されます。
 分版フィルタに対応していないPostScriptコードは、RIPに搭載されたIn-RIPセパレーション機能で分版出力できます。
 In-RIPセパレーション機能を利用するためには、PostScriptコード内に下記のような指示を加えます。もしくは、RIP側でIn-RIP セパレーションを選択した場合、自動的に加えられます。

<< /Separations true /ProcessColorModel /DeviceCMYK /SeparationOrder [/Cyan /Black] >> setpagedevice

CyanとBlack版を出力するよう指示を与えています。

 ただし、Adobe純正RIP搭載PostScriptプリンタでは、ほとんどの場合、オーバープリント属性を無視する仕様になっています。In-RIPセパレーション機能を搭載した業務用RIPのみが、オーバープリント属性を再現できます。

 Adobe純正RIPのIn-RIPセパレーションによってPostScriptを分版出力する場合、覚えておきたい特徴があります。
 Adobe純正RIPの仕様では、オーバープリント属性を持ったDeviceCMYK記述(C,M,Y,K 4版の%をまとめて指定する記述)オブジェクトはC,M,Y,K版に対して0%も描画されます。※特色版に対しては描画されません(ヌキになりません)。
 本来、オーバープリント属性の目的は特色版と色を重ねるためにあるものと考えれば、ある程度納得できます。しかし、先に説明したオーバープリントが指定されたオブジェクトの0%の版は出力されないというオーバープリントの基本と異なる動作です。

 ちなみに、PostScript互換RIPでは、この仕様を様々に変更でき、当然Adobe純正RIPの仕様と同じ結果を得ることも可能です。

DeviceCMYK記述を置き換える意味

 例えば、C0%+M0%+Y0%+K100%のオブジェクトをオーバープリントにしたい場合。
 K版100%だけに描画したいのですが、DeviceCMYK記述では、Adobe純正RIPのIn-RIPセパレーションの仕様によりC,M,Y版が0%で描画されてしまいます(本来のAdobe純正RIPの仕様では、DeviceCMYKのK100%をC,M,Y版にノセにすることができません)。
 この場合、オーバープリント属性をもつDeviceCMYK記述オブジェクトをSeparationやDeviceNという記述に書き換えれば、0%のチャンネルには影響しないオブジェクトにできます。

 Separationは、通常、特色版を指定するオペレータですが、出力先としてC,M,Y,K版を指定することもできます。
 例えば、下記のようにカラースペースを定義しなおすことで、K版のみのオブジェクトに置き換えできます。

[/Separation /Black /DeviceCMYK {0 0 0 4 -1 roll}] setcolorspace

出力先にBlack(K版の予約語)を指定しています。つまりBlackという名の特色として記述しています。
 Separationでは単版のみを記述できますが、PostScript 3 による記述が許される場合、DeviceNという記述により複数チャンネルを記述できます。例えば、

[/DeviceN [/Yellow /Black] /DeviceCMYK {0 0 4 2 roll}] setcolorspace

というカラースペースを用意すれば、Y版とK版を同時に指定でき、C,M版に影響を及ぼしません。※DeviceCMYK {0 0 4 2 roll}の部分は代替カラースペース=表示色です。実際に出力される版の濃度とは別です。
 このようにSeparationやDeviceN記述を使って、0%を含まないカラースペースを定義することで、Adobe純正RIPでも、DeviceCMYK記述オブジェクトをC,M,Y,K版に0%のチャンネルは描画しないようにできるのです。

 業務用Adobe純正RIPに接続された分版出力機器の多くは、DeviceCMYK記述であっても、0%のチャンネルには描画しないオーバープリントを実現する機能がベンダーによって後付けされていると思います。この機能を選択することで、DeviceCMYK記述を置き換える手続きが実行される仕掛けですが、これはAdobe純正RIPの仕様ではありません。正しいPDF運用では、Adobe純正RIPの仕様に基づいた出力が行われる必要がありますので、注意してください。

オーバープリントシミュレート機能について

 余談ですが、Acrobat 5以降を使用すれば、オーバープリントを再現できないPostScriptプリンタで、オーバープリントをシミュレートできます。
 オーバープリント処理されるべき箇所を、透明効果を処理するようにオーバープリント処理済みに見える画像を合成することで、オーバープリントが実行されたように見せます。
 同様の機能は、InDesign2.0 以降(色分解 > オーバープリント処理)や、Illustrator CS 以降(詳細設定 > オーバープリント:シミュレート)にも備わっています。
 しかし、この方法でプリントした結果は擬似的なものです。
 以下の点に注意してください。

  • データが重くなります。
  • 特色版とCMYK版が重なった様子を表現するため、特色はCMYKに変換されます。
  • 複雑な条件下では、正しくない結果になります(InDesignCS2、Acrobat8ではかなり実用性が高くなったようですが)。
     オーバープリントをシミュレートプリントする機能はできるだけ、使用しないことをおすすめします。
     どうしても必要であれば、元のデータのオーバープリントを正しく再現した結果ではないという事実を十分理解し、意識して使用してください。
     必ず、元となるPDFのAcrobat画面表示と見比べて、誤動作を確認するようにしてください。

OPMという属性について

 PDFにはOPMという属性が追加されました。OPMはPostScriptになかった概念です。
 OPMはオーバープリントモードの略で、DeviceCMYK記述されたオブジェクトが、オーバープリントと共にPDFのオブジェクト単位で持つことができる属性です。
 Adobe純正RIPの仕様では、OPM属性が有効になるのは平アミだけです。シェーディング(グラデーション)や、イメージマスク(2値画像)を除くイメージ(画像)には有効になりません。

 またOPMはDeviceCMYKオブジェクトにのみ有効です。特色オブジェクトに関してはそもそもOPMは必要でありません。その他のRGBやCIEBacedカラーオブジェクトなどに関しては、CMYKに対し0%も描画されます。※特色に対しては描画されません。

 オーバープリント属性を持つオブジェクトのOPM属性が1のとき「ノンゼロオーバープリントモード」(別名「Illustrator オーバープリントモード」)になります。
 PDFでは、DeviceCMYK記述されたオブジェクトに対し「オーバープリント属性なし」、「オーバープリント属性あり+OPM属性 0」、「オーバープリント属性あり+OPM属性 1」の3種類のオーバープリント状態が存在します。

 PostScriptからPDFに変換する際、Distiller 6、7、8では詳細設定にて「オーバープリントのデフォルトをノンゼロオーバープリントにする」にチェックしておくと、PostScriptの中でオーバープリント属性を持つDeviceCMYK記述オブジェクトのOPM属性は1と仮定されます。
※Distiller 5 の場合、詳細設定の「Illustrator オーバープリントモード」にチェックします。Distiller 4 では、.joboptionsファイルをテキストエディタで開くと、/OPM 1という記述を見られますし、変更も可能です(/OPM 0)。
 ほとんどの場合、DistillerのジョブオプションはOPM 1に設定されています。

  • OPM 1のオブジェクトは、0%のチャンネルは出力されないという、基本に忠実なオーバープリントが実行されます。CMYKおよび特色版が分版抽出されるとき、指定されたチャンネルのカラーが0%の場合そのオブジェクトは描画されません。
  • OPM 0のオブジェクトは、PostScriptコードをAdobe純正RIPでIn-RIPセパレーションしたときと同じ動作になります。つまり、OPM 0のDeviceCMYK記述オブジェクトは、C,M,Y,K版に対して0%であっても描画されます。※特色版に対しては描画されません。

 Acrobat5以降のオーバープリントプレビューは、OPM属性に対応していますので、OPM 0とOPM 1が混在したPDFも正しく表示できます。
 しかし、印刷用のPDFを作成する場合、動作が分かりやすいOPM 1が常に推奨されます。
 Illustrator 9 以降や InDesign のオーバープレビュー表示もOPM 1になっていますし(ただしPDFを配置した場合はPDFに含まれるオブジェクトのOPM属性が再現されます)、また動作がシンプルであるため比較的に結果が予測しやすいためです。

 OPM属性は、PDFをPostScript 3 RIPで分版出力した場合にも有効ですが、AcrobatからPostScript化(PSプリンタでの直接プリント、及びPostScript保存、EPS保存)した場合にも同様に有効です。
 OPMはPostScriptには無かった概念ですが、実はPostScript化するときにPostScript 3を指定した場合、出力結果はAcrobatのオーバープリントプレビューと一致します。PDF内のオーバープリント+OPM 1のDeviceCMYK記述オブジェクトは、PostScript化されるときに、DeviceCMYK記述がSeparationやDeviceNで記述し直され、Adobe純正RIPのIn-RIP セパレーション出力したときの独特な振る舞いが回避されます。
 PostScript level 2形式ではPDFのOPMを再現できませんので、注意してください。

 もしも、オーバープリント属性を持つDeviceCMYKオブジェクトがOPM 0とOPM 1で混在しているPDFからPostScriptを書き出し、再度Distiller(やNormalizer等)で、PDFにする場合、Distiller(等)側のOPM設定を0にしなければなりません。
 なぜなら、もともとOPM 0だったオブジェクトがOPM 1に変化してしまうためです(OPM 1は、PostScriptやEPSに書き出した時点で、DeviceCMYK値指定でなくなりますので変化しません)。
 このような問題を避けるためにそもそも OPM 0はできるだけ使用せず、常にOPM 1で運用されることが推奨されます。
 ※Acrobat8.0からPostScript化した場合は、OPM 0のオブジェクトは/DeviceNで記述し直されるようになりました。

/DeviceN [/Cyan /Magenta /Yellow /Black]

CとMとYとKを同時に扱うカラースペースを用意することで、あえて0%も記述されます。
 ということは、「オーバープリントのデフォルトをノンゼロオーバープリントにする」に設定されたDistillerで、再度PDFに変換してもOPM 1に化けなくなりました。

PostScipt? 3015.102以降のsetoverprintmode

 余談ですが、PostScript 3015.102以降にはsetoverprintmodeというオペレータ(命令)が実装されました。
 PostScriptコード中にtrue setoverprintmodeというオペレータを組み込むだけで、Adobe純正RIPのIn-RIPセパレーション出力時にPostScriptコード中のDeviceCMYKオブジェクトの0%のチャンネルは描画されなくなります。
 しかし、このオペレータが使われるPostScriptコードは、RIPバージョン依存になってしまうので、実際にはこのオペレータが使用されることは現状では考えにくいです。
 先に述べたようにPDFからAcrobatで PostScript 3に変換したときにも、OPM 1が指定されたDeviceCMYK記述オブジェクトはSeparationやDeviceNで記述されますので、ほとんどの場合 setoverprintmodeオペレータは必要とされません。
 また、PDFの仕様におけるOPM 1とは振る舞いが若干異なり、DeviceCMYKシェーディングが同士でオーバープリントになってしまいます。
 RIPによってはRIP側でsetoverprintを付加できる場合がありますが、offにしておかなければ、Acrobatのオーバープリントプレビュー表示と出力結果が一致しませんので注意してください。

PDFのDeviceGray?オブジェクト

 PDF運用では、DeviceGray?オブジェクトが、DeviceCMYKオブジェクトとは別物であることを意識する必要があります。
 DeviceGray?オブジェクトは、確かにK版に出力されるオブジェクトですが、実はRGBの仲間です。CMYKや特色では0が0%、1が100%のインキ濃度になります。DeviceGray?カラーは0が光量0(黒)、1が光量100%(白)になります。RGBもそれぞれのチャンネル毎に光量で指定します。昔、グレースケールモニタや、モノクロレーザープリンタが使われていたころは、問題なかったのですが、現在はすこしややこしい存在になってしまいました。
 Adobe純正RIPで直接PDFを出力した場合、AcrobatからコンポジットでPostScript出力した場合、そしてAcrobatのオーバープリントプレビューでは、グレースケールはRGB等と同じく、CMYKでも特色でもないためOPMは意味がなく、C,M,Y版に対して0%が描画されてしまいます。※特色版に対しては描画されません。
 PostScript運用では、K版の代用としてDeviceGray?を使用されることが多かったと思いますが、PDF運用時はオーバープリントの振る舞いに注意が必要です。

 DeviceGray?オブジェクトを含んだPDFは、次のような問題も発生させます。

  • CMYKのK版とDeviceGray?が1つのPDFに混在する場合、同じ%値でもカラーマネジメント的に別のプロファイルが適用されるためAcrobat上で見た目が違って見えます。
  • DeviceGray?オブジェクトをカラーマネジメントによりCMYKへ変換したとき、CMYKの4色に色分解されてしまいます。
  • Acrobat5ではCMYKの上にDeviceGray?のオーバープリントオブジェクトが重なるとき、画面表示が正しくありません(K版の濃度が濃くなってみえてしまいます)。

 これらの問題を解決するためには、そもそもDeviceGray?を使用しないことが求められます。
 幸い、最近のアプリケーションでは、DeviceGray?はあまり使われなくなってきています。しかし、未だにIllustratorなどではDeviceGray?を使用できてしまう問題がありますので、注意が必要です。

 フィルタ処理を行うことで、DeviceGray?オブジェクトをSeparation記述に置き換えることができます。
 例えば、最近のInDesignでは下記のとき、配置された画像のDeviceGray?オブジェクトをSeparation記述に置き換えてくれます。

  • オーバープリントプレビュー表示
  • 直接PDFを書き出すとき
  • プリントもしくはPostScriptを書き出す際、コンポジットではなく「色分解(In-RIP)」を選択したとき
     全てのDeviceGray?オブジェクトをSeparation記述に置き換えてしまえば、当然、DeviceGray?特有の問題は発生しなくなります。
     ただし、DeviceGray?の段階では無効になっていたOPM属性が有効になってしまうことには注意が必要です。
     幸いInDesignではオーバープリントプレビュー表示の時点で、あらかじめDeviceGray?をSeparation記述に置き換えて見られるので、オーバープリントプレビューを積極的に使用しましょう。

 ちなみに、安易にDeviceGray?オブジェクトをDeviceCMYK+OPM 1のKに置き換えてしまうと、オーバープリント属性付き0%のとき、オブジェクトは欠落してしまうという怖い落とし穴が待っています。

CMYK0%オブジェクトの問題

 Illustratorは9以降からは、CMYK=0%のオブジェクトにオーバープリント属性を指定できるようになりました。
 過去のIllustratorやInDesignなど、ほとんどのアプリケーションでは、CMYK=0%のオブジェクトにオーバープリントを指定できにくくなっています。結果が予想できない危険な行為だからです。

 DeviceCMYK記述されたCMYK=0%のオーバープリント属性付きオブジェクトは、Acrobatのオーバープリントプレビューでは、何も描画されません。またPDFを分版出力した結果にも描画されません。
 ただし、Acrobatでオーバープリントプレビューが選択されていない、もしくはAdobe Reader 6より前のバージョンで見たときは「白」として表示されてしまいます。
 また多くのPostScriptプリンタでは、オーバープリント属性を無視しますのでこれも白になります。
 白ヌキの文字や図形が、消滅してしまう事故が予想されます。

 PostScriptやEPSからPDFに変換した場合、またIllustrator等から直接PDF(やAI)を書き出した場合も、DeviceCMYK記述が使われます。
 つまり、ほとんどの印刷用PDFは、白になったり透明になったりする仕様の影響を受けるのです。
 DeviceCMYK記述のCMYK=0%オブジェクトを含むオブジェクトは、必ずAcrobatのオーバープリントプレビューを用いて確認しなければ、分版結果を予想することができないことを知っておいてください。

 ちなみに、PDFを作成するとき「色分解(In-RIP)」を使用した場合、DeviceCMYK記述のCMYK=0%のオーバープリントオブジェクトは破棄されますので、オーバープリントプレビューをonにした場合も、offにした場合も描画されなくなります。

 もしくは、一旦PDFをPostScript化し、再びDistillerでPDFに戻すことでも、DeviceCMYK=0%の仕様を回避できます。
 まずPDFがPostScript化されるとき、オーバープリント属性を持ったDeviceCMYK記述のCMYK=0%オブジェクトは、SeparationやDeviceNに置き換えられ、Noneという特色版に移動します。
 Noneはレジストレーションカラー(All)の反対で、常にどの版にも印刷されないという特別な意味があります。
 Noneに移動した後はオーバープリントプレビューをonにした場合も、offにした場合も描画されないオブジェクトになります。ちなみに、見えないだけでオブジェクト自体は、まだ以前の位置にいる状態になります。※Acrobat 8のPostScript化では、オーバープリントを処理できるRIPで処理されるとき、オブジェクト自体が破棄されます。

 上記いずれかの対策によって、分版出力前にAcrobat画面上で問題点を見つることが可能になります。
 しかし、基本的には、DeviceCMYKの0%にオーバープリント属性を付けないようにするべきだと思います。
 もし、見えないことが期待されるオブジェクトなら、あらかじめ削除しておくべきです。

0.2%未満へのオーバープリントは危険

 Acrobatを含めたAdobe製品のオーバープリントプレビューモードは、約0.2%に満たない%指定は0%として扱われることがあります。つまり約0.2%未満のカラーチャンネルにはオブジェクトが描画されない結果になります。
 しかし、多くの場合に実際の分版出力結果は単純にチャンネルが0%か否かで描画されるかどうかが決まります(なのでノンゼロオーバープリントという)ので、Acrobat画面と出力結果が一致しない場合があるということになります。

 例えば、C100,M100,Y100,K0%のオブジェクトの上にC0.1%のオブジェクトをオーバープリントにします。
 プレビュー画面上ではC0.1%は見られませんが、多くの場合、実際の出力では多くの場合C0.1%のオブジェクトの形で赤になります。

 オーバープリントプレビューが正しい表示にならない現象は、DeviceCMYK記述されているオブジェクトに発生します。
 回避するには、オーバープリント属性をもつDeviceCMYK記述のオブジェクトをSeparationやDeviceN記述を用いて0%のチャンネルを記述しないように置き換える必要があります。
 例えば、一旦、AcrobatからPostScript化し、DeviceCMYK記述をSeparationやDeviceN記述に置き換えます。そして再びDistillerを用いてPDFにすれば、オーバープリントプレビューと分版出力結果は一致します。
※ただし、AcrobatからのPostScript化した場合CMYKが全て0%でないカラーはDeviceCMYK記述のままになりますので、万が一、CMYKが全て約0.2%未満の場合には解決されません。RIPで直接PDFを処理した場合と異なります。
 もしくは、最近のAdobe製品に配置してプリント時に「色分解(In-RIP)」指定を用いてPDFを作成した場合も、DeviceCMYK記述はSeparationで記述されるためオーバープリントプレビューと分版出力結果は一致します。
 どちらの方法にしても、手間がかかり、また編集中のプレビューと一致しないことになりますので、なによりの回避方法は日頃から0.2%に満たない濃度を指定したオブジェクトにオーバープリント指定を行わないことになります。

0.05%問題

 Illustrator ver 9以降から書き出したPostScript(やEPS)には、DeviceCMYK=0%オブジェクトが、DistillerでPDFに変換されるとき(オーバープリントが有効なRIPで実行されるとき)、Kチャンネルが=0.05%に変化するという、おかしな仕掛けが含まれています。
 0.2未満のDeviceCMYK記述%値なので、PDFに変換した直後の Acrobatのオーバープリントプレビュー表示では、描画されないオブジェクトに見えるのですが、実際の出力結果ではK版が0.05%で描画されてしまう問題が発生します。結果、実際の分版出力では背景のK版が消えたように(ヌキになって)見えてしまいます。
 元データがCMYK0%なのに、ちゃんと0%の振る舞いにならないということになってしまうのです。Illustratorから直接書き出したPDFでは、原則どおりDeviceCMYK=0%のオブジェクトは、0%のまま書き出されます。

 PostScript(やEPS)に含まれる仕掛けは、Illustrator内部で勝手に仕掛けられるので、この事実を知らなければ、日頃注意していても回避できません。
 一旦、PDF をPostScriptにして再度PDFに戻すか、もしくは最近のAdobe製品に配置してプリント時にIn-RIPセパレーション指定を用いてPDFを作成しなければ、出力結果が確定されないのです。

 ところで、0.05%に変化する仕掛けを回避する方法は、同仕掛けの中に用意されています。
 次の1行をPostScript中に埋め込むだけで解決します。

/AGM_avoid_0_cmyk false def

 PostScriptの辞書にAGM_avoid_0_cmykという単語を用意してfalseという値を定義しています。
 Distillerには、あらかじめPostScriptを処理する前に手続きを登録するための「Startup」フォルダというものがあります。この1行を書いたテキストファイルをStartupフォルダに置いておくだけで、0.05%問題が回避できます。
 曖昧さを避けるため、対策しておくことをおすすめします。

シェーディングのオーバープリントについて

 シェーディングは滑らかに色を変化させる指定を含んだ、特別な塗りオブジェクトです。いわゆるグラデーションです。

 PDF運用では、シェーディングがオーバープリント属性を持つ場合、指定されたカラースペースがDeviceCMYKのとき、普通の塗りと同じくC,M,Y,K版に対し0%が描画されます(つまりヌキになります。ただし背面の特色版に対してはノセになります)。C,M,Y,K版に対して0%の版を描画させないためには、シェーディングオブジェクトもDeviceN(もしくはSeparation)カラースペースで記述しておく必要があります。

 Illustrator 9と10、InDesign 2.0のオーバープリントプレビューは、DeviceCMYKカラースペースのシェーディングを表示するとき正しくありません。0%の版に対し0%を描画しないからです。実際、Illustrator 9と10から書き出したPDFやPostScript(やEPS)は、シェーディング中のカラースペースがDeviceCMYKになっていますので、C,M,Y,K版に対してノセになりません。Illustrator 9と10、InDesign 2.0を使用して制作する場合は、PDFにした後にAcrobatのオーバープリントプレビューで確認する必要があります。

 Acrbat 5を使用する場合に注意しなければならない問題があります。Illustrator 9と10、InDesign 2.0から直接PDFを書き出したとき、シェーディングはPattern中に含まれるという変わった記述になります。※shfillとい特別な手順による塗りでなく、Patternというカラースペースで塗れるって便利だねって考えたんだと思うのですが、ややこしすぎプレフライトでの検出も困難です。
 パターン中のシェーディング記述ではAcrobat 5のオーバープリントプレビューでシェーディングのオーバープリント属性が有効に見えないという問題を発生させます(特色版に対してもヌキに見えます)。
 Illustrator 9と10、InDesign 2.0から直接書き出したPDFで発生する問題です。Illustrator 9と10、InDesign 2.0からPostScript(やEPS)を書き出してPDFを作成した場合は、普通のシェーディングになりますので、Acrobat 5でもこの問題は発生しません。

 ちなみにパターン中のシェーディングは、一旦InDesignCS以降に配置すると再解釈処理されて普通のシェーディングに治ります。もしくはAcrobat8以降からPostScript(やEPS)に変換したときも再解釈されて治ります。

 Illustrator CS以降、InDesign CS以降のオーバープリントプレビューでは、オーバープリント属性付きシェーディングを正しく表示できます(C,M,Y,K0%の版は0%で描画されます)。また出力に関しても、PDF書き出しおよびPostScript(やEPS)出力共に、オーバープリント属性付きシェーディングオブジェクトはDeviceNカラースペースで記述されるため、Acrobat 5でも表示と出力結果は一致します。

※一部の特殊なRIPは、オーバープリント属性付きDeviceCMYKカラースペースのシェーディングフィルオブジェクトをDeviceN記述に置換えるらしいです。技術的にはとても凄いことだと思います。ただしCSシリーズやAcrobatのオーバープリントプレビュー表示と出力結果が異なることを意味しますので、普通のPDF運用時には注意が必要です。

透明効果と自動K100%オーバープリント

 現状では、多くの出力行程で、通称RIPによるK100%自動オーバープリント処理が行われているようです。出力データ中に含まれるK100%オブジェクトを検知して、自動的にオーバープリント属性を付加する処理です。
 透明効果を使用しているとき、この処理を行った場合、必ずしも期待される結果にならないことがあります。

 Illustrator 9以降やInDesign2以降には、透明効果という機能が用意されました。
 透明効果は、現在印刷用途に一般的に使われているPDF1.3および、 PostScript 3に備わっていない機能です。
 透明効果が使えるアプリケーションが、PDF1.3および、PostScript 3用のデータを作成するときには、透明効果の部分を複数の画像に分割することで、あたかも、オブジェクトが透けて見えるように仕掛けを施します。

 透明効果が分割される際には、もとになるデータのオーバープリント属性が考慮されます。
 ですから、本来は分割前にオーバープリントが確定されていなければ、予定された画像のつながりに問題が発生する可能性があります。
 分割後にK100%オブジェクトをオーバープリントにしても、透明効果の分割時にできるだけオブジェクトがラスタライズされない設定にされていれば、滅多に問題になりません。
※Illustrator 9を除きます。9の場合、透明効果によって分割されたオブジェクトの下に、わざわざ別の白いオブジェクトが生成されていることがあり、オーバープリント属性の意味が有効にならないことがあります。
 もし、K100%オブジェクトに対して自動オーバープリント属性を付加できる機能を使用しても、Acrobatで確認してから出力できれば、ほとんどの場合問題になりません。
 ですが、分割時にラスター画像に変換されてしまった箇所は、自動K100%オーバープリントになりませんので、本来は透明効果の分割前にオーバープリントを指定してあることが望ましいのだということは知っておいてください。

オーバープリント属性を破棄しての分版出力は危険

 分版出力時に使用されるPostScript RIPには、ほとんどの場合、分版出力時にオーバープリント属性を全て破棄する機能が備わっています。
 しかし、最近のアプリケーションで作成されたデータを出力する場合に、大きな問題を発生させることがあります。

 InDesignやIllustrator CS以降からPostScriptを書き出す際、普通にコンポジットではなく、「色分解(In-RIP)」を選択して作成されたPDFの場合、DeviceCMYK記述されたオーバープリントのオブジェクトは、Separationで記述されています。
 Separationは単版の濃度しか記述できないので、例えばM50,Y100%のオーバープリント指定されたオブジェクトは、M50%とY100%の2個のオブジェクト(どちらも表示色=代替カラー指定はM100,Y50%)になります。
 2つのオブジェクトは、出力時にオーバープリントが実行されることにより、正しく重なる仕掛けになっています。
 このような仕掛けは無意識に付加された(オペレーションによってではない)オーバープリントと呼ばれます。
 もし2つのオブジェクトのオーバープリント属性を破棄してしまった場合、前面のM50%だけが出力され、Y100%は白になってしまいますので、絶対にオーバープリント属性を無視しての出力はできません。

 また、透明効果を使用していて、特色版の上にCMYKオブジェクトが重なる箇所が分割されるとき、CMYKオブジェクト側にアプリケーションが自動的にオーバープリント属性を付加することがあります。
 もし自動的に付加されたオーバープリント属性を破棄して出力してしまうと、重なるはずだった部分の特色版が白く抜かれてしまいます。やはり分版出力時には、オーバープリント属性を無視して出力はできません。

 Noneカラースペースを使ったオブジェクトが含まれている場合があります。Noneカラースペースのオブジェクトはオーバープリント属性に関係なく、いかなるときも見えない(出力されない)オブジェクトですので、オーバープリント属性を破棄しても意味がありません。DeviceCMYK=0%のオブジェクトがオーバープリントのとき、PDF作成時のNoneカラーに変換される、もしくは破棄される場合があります。ということは既にPDF上で見えない(もしくは存在しない)オブジェクトなので、オーバープリントを破棄してもDeviceCMYK=0%のオブジェクトは白に戻りませんので注意してください。

 過去のアプリケーションでは、制作中にオーバープリントが確認されないことが多かったため、データ中に含まれるオーバープリント属性を無視するほうが、多くの場合に無難な出力結果が得られました。
 しかし、PDF運用においては、Acrobatで確認済みのデータに修正が加わることは好ましくない運用です。出力してみないと結果は分からないことになってしまいます。これでは、PDFをあらかじめチェックする意味がありません。
 また、同じ面付け上で全てのデータが影響を受けてしまうことになりますので、やはり正しいPDF運用ではあらかじめ出力前に全てのページのオーバープリントが確認済みであるべきです。

色分解(In-RIP)を用いたPDF作成、運用について

 積極的なRIPベンダーは、InDesignから印刷に適したPDFを作成する手順として、PDF変換前のPostScriptの作成時にアプリケーションのプリントダイアログから「色分解(In-RIP)」を選択するよう案内しているようです。

 通常、DTPアプリケーションからPostScriptプリンタに送信されるのは「コンポジットPostScript」です。
 InDesignのプリントダイアログから「色分解(In-RIP)」を選択した場合は、コンポジットPostScriptの前にIn-RIP色分解に必要な情報(トラップ、線数、アミ角度)が加わります。
 一緒にいくつかのフィルタもダウンロードされます。例えば、特色をプロセスカラーに変換する(プロセスカラーに変換指定されたとき、かつ可能であれば)フィルタ、コンポジットCMYKカラー指定オブジェクトがオーバープリントのときSeparationオブジェクトに変換するフィルタ、そしてDeviceGray?オブジェクトをSeparation記述に変換するフィルタがダウンロードされます。

 確かにオーバープリント指定されたオブジェクトが、Separation(やDeviceN)で記述されていて、なおかつDeviceGray?オブジェクトを含まないPDFは、Acrobat画面上で分版出力結果を予想する場合にとても有用です。しかし、正しいAcrobat表示ができるのと引き換えに、次のような特徴があることを理解して運用することが大事です。

  • 編集アプリケーションのオーバープリントプレビュー表示と異なるPDFが作成されることがあります。DeviceCMYK記述されたオーバープリントオブジェクトの振る舞いの曖昧さが無くなるのと、DeviceGray?がSeparationとして記述し直されるためです。
  • 分版出力時には、データ中のオーバープリントを忠実に再現しない場合、色化けが発生します。複数チャンネルのオーバープリント属性オブジェクトが、それぞれの版毎に分かれてオーバープリントで重ねられたオブジェクトになっているためです。
    ちなみに、Distiller等(Normalizerの類)、でないRIPで色分解(In-RIP)を使って書き出したPostScriptを処理した場合、オーバープリント属性を破棄しても色化けになりません。Distiller等は、currentoverprintを生かしたまま。最終的にPDFにオーバープリント属性を取り込まないのですが、色分解(In-RIP)でダウンロードされるフィルタは、この仕様に対応していないため困ったPDFが出来上がってしまいます。
  • DistillerのIdiomRecognition?(定義を置き換えるオペレータ)の動作を妨げることがあります。IdiomRecognition?は、特定のコードがPostScriptの辞書内に定義されようとするとき、より効率のよいコードと差し替える機能です。コンポジットPostScipt?で変換することを前提としているため、「色分解(In-RIP)」を経由した場合、特定のコードを見つけられなくなることがあります。例えば「色分解(In-RIP)」を経由するPostScriptコード中に、過去のバージョンのQuarkの疑似グラデーションが含まれている場合、よりスムースに仕上がるshfillオペレータに置き換えるIdiomRecognition?は機能しなくなります。疑似グラデーションのまま出力されます。
  • PDF/Xの類いを配置している場合は「色分解(In-RIP)」を使用してはいけません。なぜならデータ通りの再現(コンポジット運用)がPDF/X出力時のルールだからです。「色分解(In-RIP)」を使用した場合、PDF/Xに変更が加えられてしまいます。※ただし、PDF/Xが作れないというわけではありません。「色分解(In-RIP)」で作成されたPDF/Xは、再び「色分解(In-RIP)」で出力しても変化しませんので、より厳密な分版出力結果が予想できると言えます。ちなみにInDesignのPDF書き出しもDeviceGray?をSeparation記述に変更しますので、PDF/Xの出力には使用できません。

SeparationやDeviceN記述の問題

 DeviceCMYK記述からSeparationやDeviceN記述への置き換えは、Acrobat画面上で正しい分版出力結果を確認するために有用ですが、弊害もあります。
 SeparationやDeviceNで記述されたオブジェクトは、ほとんどのPostScriptカラープリンタ出力において、カラーマネジメントが無効になってしまい、プリンタの原色で出力されてしまうのです。

 一部の業務用RIP(単体または組み合わせ)では「分版合成」機能や「オーバープリント再現」機能によって、正常なカラーマネジメント出力が可能です。
 C,M,Y,Kそれぞれ画像にした後に、再度CMYK画像として合成出力しています。一旦、別の画像ファイル生成するので、スピードが遅くなりがちです。※特色のオーバープリントも再現可能な、インクジェット方式のプルーフ用RIPでは、別ファイルを書き出しながら同時に出力するため、あまり遅くならないようです。

 PostScriptプリンタ内部のカラーマネジメントが無効になってしまう問題は、SeparationやDeviceN記述への置き換えによって発生するので、あらかじめ置き換え対象にならないようにすれば問題を回避できます。
 例えば、DeviceCMYKオブジェクトにオーバープリントを設定しないようにしましょう。例外的に、C0,M0,Y0,K100オブジェクトに関しては、プリンタのK100%で出力されても、ほとんどの場合、問題にならないでしょう。
 回避が難しいのは、DeviceGray?オブジェクトがSeparation記述になっている場合です。100%の場合は問題になりにくいと思いますが、全ての濃度でカラーマネジメントが無効になるため、DeviceCMYKのKと濃度や色が変わります。
 プリンタのタイプによっては、さほど問題にならない場合と、大きな問題になる場合と様々ですので、実際に写真と網%のチャートを出力してみて、CMYKのKとSeparation記述のグレーで結果の違いを比較してください。

Adobe PDF Print Engineの時代に期待

 現在、最も手軽に、また正しくPDFの分版出力結果を予想できるのは、Acrobatのオーバープリントプレビューです。プリンタ出力よりも信用できる出力見本=ソフトウェアプルーフになります。
 この仕掛けによりPDFは、PostScriptよりも確実なデータの受け渡しが可能で、なおかつコストを軽減することができます。

 とはいえ、現状では運用のすべてをソフトウェアプルーフ化することはできないでしょう。

 現在、多くのPostScriptカラープリンタでオーバープリントが再現できない問題と、SeparationやDeviceNで記述されたオブジェクトに対しカラーマネジメントが働かない問題は、全てPostScript RIPの仕様により発生していますので、PostScript RIPを使用するかぎり、PDFを分版出力した結果を正しいくプリンタで再現することは難しいです。
 どうしても、正しい分版結果をプリンタ出力で得たい場合には、一旦PostScriptで分版した結果を画像化し、再合成するシステムを導入する必要があります。

 将来的には、2006年4月にAdobeが発表した「Adobe PDF Print Engine」を搭載した、プルーフ出力システムを使用した場合、PostScript RIPの仕様による制限を回避できるものと期待されます。




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Last-modified: 2007-09-23 (日) 16:46:27 (3615d)