間31 JIS X 0213:2004とWindows Vista

 次の文の[]の中の正しいものを選びなさい。

 文字と関わることの多いデザイン、編集、印刷業種は日本で流通する文字の字体や字形、字種については充分、注意を払っておく必要がある。
 漢字については「文部科学省における国語施策」、コンピュータで流通させる字種を決める「経済産業省のJISコード」、そして実際の文字の使用に直接関係する「コンピュータのOS、フォント、アプリケーション」の3点の関連を知っておく。
 表外漢字字体表は主に康照字典体を典拠とする「印刷標準字体」以外に、すでに広く使われている字体を容認した[ 187 :①俗字体 ②簡易慣用字体 ③異体字]を22字決めている。また部首についても「3部首許容」を示し、3種の部首についてはすでに使われている簡易体でよいとしている。
 このように国語審議会の答申になった表外漢字字体表は、常用漢字表と異なり、[躇7:①すべての漢字を1種類の字体で示しているのではなく、一部許容される幅を設けている ②すべての漢字を1種類の字体で示している]。
 表外漢字字体表は内閣の告示とはなっていないが、国語審議会より答申されたことで実質、各省やメーカーなどが盛り込む方向で動いている。例えば経済産業省はJIS X 0213:2000の例示字体を表外漢字字体表における[ 188 :①新字体 ②OpenType ③印刷標準字体]に変え、その他の変更も加えて、JIS X 0213:2004を発行した。しかしこれはJISが表外漢字字体表中の例示字体にのみ対応しているという意味ではない。包摂によってすでに広く使われている字体にも対応している。
 このJISにおける「例示字体」は一体何なのか、JIS X 0213:2000の付属書6には次のように記載されている(この部分はJIS X 0213:2004にも適用される)「ここで示す例示字体、部首、画数、音訓などは、一般に用いられている漢字とこの規格でビット組合せを規定する図形文字との対応を示し、文字の同定を容易にするためだけに用いるのであって、漢字の字体・字形、部首、画数、音訓などに対して、何ら制限をするものでもなく、また、いかなる基準を与えるものでもない」。
 すなわち、JIS X 0213:2004の改正の主目的は、文部科学省の国語施策と整合性をもたせることであるが、例示字体およびその包摂規準も含めて、字体や字形を定めるものではない、ということだ。文字の同定を行うための情報にすぎないわけで、字体についての標準はあくまで、「表外漢字字体表」を参考にしなければならない。
 この表外漢字字体表に対し真っ先に対応しようとしたのがWindows Vistaに標準装備されているMSゴシックとMS明朝の[ 189 :①Version1.0 ②Version2.5 ③Version5.0 ]であるが、正確には表外漢字字体表中の印刷標準字体に対応しているというべきである。
その点については、MSゴシック、MS明朝の[ 190 :①Version1.0 ②Version2.5 ③Version5.0 ]のフォントをマイクロソフトのホームページよりWindows Vistaにダウンロードすることで、旧来の字形表示の互換を得ることができる。一方、Adobeのフォント環境であるAdobe-Japan 1-6はAdobe独自のグリフ集合であり、それに対応した[ 191 :①OpenType ②メイリオ ③TrueType ]は、一部のアプリケーションで字体切り替えができ、表外漢字字体表に対応することができる。
 印刷原稿としての適切な文字への対応は、できるだけ印刷ワークフローのフロント部分で処理されるべきであり、正しい文字の処理が後工程まで引きずらないというのが、間違いのない印刷物を作るためにも必要である。

参考URLなど

2ちゃんねるで提案された解答


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